間取りを軸にプロ側と顧客のコミュニケーションを深める上で有効なのが「家事楽」だ。なかでも顧客の関心が高い洗濯の省力化提案は需要だ。
昨今の子育て世代は共働きが多い。洗濯する時間帯は出勤前のことも就寝前のこともある。当然、洗濯物を干すのは室内だ。プライバシー重視の傾向も相まって、庭やベランダで洗濯物を干す家庭は減っている。
実際、ベランダを設けない住宅が増えている。
この場合、布団を干す場所が問題となる。寝室に折り畳み式の布団干しを置いて干す、寝室に大きな窓と落下防止の柵を設けてそこに干す、などで代替している。昨今は建設資材の高騰により、住宅の工事費が上昇している。コスト削減の手法としてもベランダの省略は有効な手法だ。
昨今の洗濯の省略化の要求水準はさらに高い。多くの顧客は洗濯機から取り出した洗濯物は近場で干したいと考えている。
方法は2つ。1つは洗濯機を置く場所(洗面脱衣室など)を広げ、天井に物干し金物やワイヤーを設ける方法、もう1つはガス乾燥機(乾太くん)の導入だ。両者を併用することもある。前者の場合、開口部を拡げてサンルームのような空間にして洗濯物を乾きやすくすることもある。
ガス乾燥機のユーザー評価は極めて高く、導入は年々増えている。炊事の省力化に食洗機が必須のように、洗濯の省力化にガス乾燥機が不可欠になりつつある。
洗面脱衣室などに洗濯機とガス乾燥機を置き、天井に物干し金物などを取り付けると最低3畳は必要になる。こうなると洗面脱衣室に洗濯機能を付加するというより、「ランドリールーム」として洗濯中心の家事室として計画したほうがしっくりくる。
少し前まで家事室はキッチン脇に設けることが多かったが、フルタイムの共働き家庭においてはランドリールームを家事室にするほうが支持される。
もう1つの洗濯の省力化ポイントが乾いた洗濯物を仕舞う作業の効率化だ。理想的なのはランドリールームの隣に家族共用クローゼット(ファミリークローゼット)を設けること。シャツなどは畳まずにハンガーのまま掛けると時短になる。
ランドリールームからはなれた位置でもファミリクローゼットは洗濯物を仕舞う上では合理化になる。この場合、タオルと下着だけはランドリールームに仕舞うようにすると合理的だ。
このように、顧客の需要の高いランドリールームやファミリークローゼットなどの今日的なスペース提案を絡めてプレゼンすることで顧客との関係を深めやすくなる。場合によってはベランダの省略も絡めていく。
次回からはマイホームロボに収録されている具体的な間取りを取り上げて、プラン提案の考え方についてまとめていく。